<自閉症の悪化原因は、食品添加物かも?>
米セントラル・フロリダ大学(UCF)のチームが発表した研究結果が話題になっています。
脳と腸の関係は今もっともホットな話題。
UCF消化器研究のナサー博士は便の中にあるプロピオン酸(PPA)が自閉症に多く見られ、腸内細菌の状態も異なることに注目。
ヒトの神経幹細胞を1年半にわたり大量のPPAに暴露するという実験を行ないました。その結果PPA過剰だとニューロンが減少し、一方グリア細胞が過剰に生成されることを確認。PPAは脳細胞を損傷することが示唆されます。
グリア細胞は、ニューロンの機能を発達させたり、保護したりするものですが、多すぎるとニューロン同士のつながりを阻害するので、機能低下につながります。
また、脳に炎症も引き起こすこともあります。
この変化が続くと脳がコミュニケーションする能力が阻害されてしまい、自閉症の子に見られることが多い行動(反復行動、他者とのコミュニケーションが難しい、など)が引き起こされる可能性が高まるのです
PPAは、ヒトの腸内に自然に存在しますが、
防カビの効果があるため、パンやチーズなどの加工食品に添加物として使用されています。
加工食品などに使われているPPAを妊娠中に過剰に摂取すると、腸内細菌のPPAが増える可能性があり、胎児の脳の発達に影響し、自閉症のリスクを高める、とナサー博士は説明しています。
自閉症の原因は、環境的要因や遺伝的要因が示唆されています。
今回の研究により、添加物による腸内細菌の変化、腸内環境の変化が分子レベルで自閉症に関係している、という説も有力な考え方になってきました。
米国においてここ20年ほどで自閉症は急速に増加しており、米疾病対策センター(CDC)によると、2000年には子ども150人に1人の割合だったものが、2012年には68人に1人となり、2014年には59人に1人となっています。
今後さらなる研究が待たれますが、私たちは添加物、腸内環境について意識する知恵も持ちたいものですね